顎変形症

ルフォー?前方骨切り?

 

上顎が前方に突出気味であると、口が閉じにくい、笑った時に歯茎が過度に露出してしまうという症状が出ることがあります。また上顎の前歯が下顎の前歯に対して、かなり前方にある場合は、噛み込んだときに上下の前歯どうしが接触せず、深い噛み込みになってしまうことがあります。

この状態を改善するためには、上顎を後方に移動させる必要があります。

上顎の後方移動には、前歯だけ後方に移動させる方法(上顎前方骨切り術)と上顎全体を後方移動させる方法(ルフォー1型骨切り術)の2つの方法があります。この二つの手術法をかみ合わせや審美的な基準をもとにして、適切に使い分ける必要があります。

上顎前方骨切り術は左右の前から4番目または5番目の小臼歯を抜歯して、そこで骨切りを行い、骨切りラインより前方の骨片を後方移動します。

上顎前方骨切り術の移動距離は抜歯によって生じた歯1本分のスペース(約4mm)となります。

これに対して、ルフォー1型骨切り術は上顎骨全体を動かす手術です。ルフォー1型骨切り術と前方骨切り術の一番の違いは、ルフォー1型骨切り術は上顎骨全体を上方に移動させることが出来ますが、前方骨切り術は骨切り線が歯列弓のなかにあるため、移動骨片を上方に移動させることが出来ません。ですので、上顎骨の上方移動を必要とするような顎変形症(上顎骨の垂直方向の過成長に伴うガミースマイルなど)では前方骨切り術は使いにくいということです。

もう一つの大きな違いはルフォー1型骨切り術と矢状分割骨切り術を同時に使用することで、上顎骨と下顎骨を一体としたまま、時計回転や反時計回転の移動を加えて、ファイシャルパターンを大きく変えることができると言うことです。

(Occlusal plane-altering orthognathic surgery)

具体的に言うと、下顎前突の方は、上顎骨と下顎骨の前後方向の位置を大きく変えなくても、上顎と下顎を骨切りして一体として時計回転させることで、顎先は後方移動するので、下顎の前突感は緩和されます。

もちろん、回転を加えることで咬合力やそのベクトルが変化するので、安易に行うとかみ合わせが壊れてしまったりするので慎重な検討が必要です。

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