顎変形症

私、顎無しなんです。。

 

一般的に顎と言えば、学術用語で言うところの“オトガイ”を指すようです。また、学術用語の“下顎”は一般人と喋る時には下あごと表現すると比較的正確にニュアンスが伝わるようです。ですので、本稿では顎無しを「オトガイ後退」と記述します。

オトガイ後退が原因で口が閉じにくいことがあります。オトガイ筋は下唇を前方につきだすという働きがあります。口が閉じにくいと下唇を前方に突き出して口唇閉鎖をしようとするので、オトガイ筋が縮んで、俗に“梅干し”と表現されるたくさんの小ジワが出現します。側貌ではオトガイのSカーブが失われてしまいます(図)。

 

オトガイ筋の収縮にともなう口唇形態の変化

努力して口唇閉鎖した時の側貌

 

一般的にはオトガイを前方に出すことで、口が閉じやすくなり、オトガイ筋の緊張が緩んでキレイなSカーブが得られます。

オトガイの前方移動のもう一つの効果としては、顎の下の皮膚がピンと張るので、二重顎が解消されるということがあります。オトガイ後退の人は、そんなに太っていないのに二重顎が出来てしまうことに悩んでいる人が多いのです。

オトガイを前方に出す手段としては、

① 骨切り術

② インプラント挿入

③ ヒアルロン酸注入

の3つが現在用いることができる方法です。

ヒアルロン酸の注入はお手軽なのですが、骨ではなく、軟部組織を増大させる方法であるため、どうしても餅をくっつけたような不自然な形態になってしまうことは否めません。

インプラントは上手に使えば良い結果が得られますが、固定ができないので、術後早期に位置がズレてしまってあまり望ましくない形になってしまっているのをよく見かけます。また、インプラントが接触している部分の骨は、溶けて吸収されることがよくあります。

骨切り術は前進させる量の調節が容易で、プレート固定を行うので安定性が抜群です。

以上の理由から、私たちは骨切り術を用いています。手術は、口の中の切開から行いますので見えるところに傷は出来ません。オトガイ形成術は顔面の骨切り術の中では難易度が低く、比較的安全に施行することができます。オトガイ形成術で難しいのは手術そのものではなく、どれくらい前進させると理想的な形態になるのかという移動量の正確な見積もりです。

これに関してはまた別の機会に取り上げて報告したいと思います。

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