顎変形症

くちびるについての小話

いきなりですが、質問です。

「上くちびると下くちびるはどちらが大きいでしょうか?」

答えは「下くちびる」です。正確にいうとヒトではそうです。お魚では上くちびるのほうが大きい個体も存在します。

唇の平均的な厚さは上口唇中央で赤唇幅が6-9mm, 下口唇中央で赤唇幅が8-12mmと言われています。

上口唇の上縁中央にはキュピッド弓と呼ばれるV字型のくびれがあり、また上口唇赤唇の中央部は厚くなっていて、上口唇結節という名前がついています。

上口唇結節の下縁の両横に軽いくびれがあり、これがあることで上口唇結節が強調されます。正面からみるとアルファベットのMの字に似ているので、美容外科ではM字リップ形成術と呼ばれる術式があります。くびれのあたりの粘膜を切除してくびれをより強調させる術式です。個人的にはそれほど魅力的な良い方法とは思いませんが。

つぎは、上唇と下唇が重なったときの形についてです。

口を閉じたときに、口元をよく見てみると下唇のうえに上唇が乗っかっています。そして上唇は下唇よりも前方に出ています。ロボットのイラストによく描かれてあるような単純な開閉運動ではないということですね。ですから、上下のくちびるの交差点である口角も実に複雑な立体的構造になっています。美容外科で口角形成術も大流行りですが、なかなか難易度が高い(良い結果を出すことが難しい)手術ですね。

年齢が上がってくると、唇に下記のような変化が出てきます。

  • ボリュームの減少
  • カールの消失
  • 縦方向の小皺
  • 鼻下が長くなる

これに対しては

ボリュームの減少 → 脂肪注入やヒアルロン酸の注入

カールの消失 → 脂肪注入やヒアルロン酸の注入、上口唇短縮手術

縦方向の小皺 → ヒアルロン酸の注入、ボトックスの注入

鼻下が長くなる → 上口唇短縮手術

このような手段をとることで、若返り効果を得ることができます。

眼や鼻に劣らず、口元も個人の印象形成に大きな影響を与えます。

大守 誠

大守 誠(おおもり まこと) 形成外科専門医・顎顔面外科医 顎変形症、口唇口蓋裂、顔面骨形成を専門とする形成外科医。 顎矯正手術、頬骨形成術、オトガイ形成術など、顔面骨格に基づいた機能的かつ審美的な治療を得意としています。 特に、口唇口蓋裂に伴う二次変形や、骨格性不正咬合に対する外科的矯正治療においては、顔全体のバランスと長期安定性を重視した治療計画を行っています。 また、美容外科領域においても、解剖学的根拠に基づいた安全性の高い手術を心がけています。 本サイトでは、顎変形症や顔面骨手術の症例紹介、治療の考え方、患者さんに知っていただきたい医学的情報を、専門医の立場から分かりやすく発信しています。

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