最近、唇裂の手術をひととおり終えられた方が、修正術を希望して当院を受診されることが多くなってきています。
口唇口蓋裂の手術は生後すぐの唇の裂閉鎖に始まり、口蓋裂の閉鎖、顎裂の閉鎖が順に行われていきます。唇裂の手術結果で見た目に関係するところは、唇と鼻です。唇のかたちや傷跡についてはずいぶんと術式の改良がすすんでおり、一昔前のようにパッとみて目立つようなことはなくなりました。しかし、鼻のかたちを整える手術についてはまだまだ改良の余地があると思います。
鼻は顔の中心にあり、目立つ部位に存在するので、わずかな変化で印象が大きく変わります。西洋では鼻の大きなひとが多いので、大きな鼻を小さくする手術が昔からよく行われてきました。アジア人は鼻の大きなひとは少ないので、鼻の形成術の件数が欧米に比べてとても少なく、手術術式の洗練が遅れていました。ところが、最近の美容整形ブームで鼻の美容外科手術の件数が飛躍的に増加しており、それに伴ってめざましく鼻形成の技術が向上しています。
当院を受診される鼻修正希望の患者さんは、過去に複数回の手術を受けられていることが多いので、再建材料に肋軟骨を使用することがとても多いです。肋軟骨を薄く加工して鼻中隔を延長したり、細かく砕いて鼻背に移植して隆鼻を行います。鼻孔の非対称に対しては、患側の鼻孔の形成に加えて、健側の鼻翼形成を追加して非対称の解消をはかることもあります。これらはまさに美容外科手技の唇裂鼻治療への応用であり、形成外科ならではのアプローチです。
これからもますます、成人となった唇裂の患者さんの修正目的の受診が増えるのではないかと考えています。
当科での修正術の症例はこちらから。