顎変形症の治療症例

オープンバイトを伴う下顎前突症例の治療

患者さんはオープンバイトと下顎前突の矯正を希望して、当科を受診されました。

初診時の顔貌です。

お顔を拝見すると、側面から見た写真では上唇は下唇よりも前方にあり、反対咬合ではないようにみえますが、下顎周囲のフルネスが強くでており、下顎前突を示唆する所見があります。

初診時正面像
初診時斜め像
初診時側貌

咬合を拝見すると、前歯にオープンバイトがあります。臼歯の噛み合わせは3級不正咬合(下顎前突)です。前歯の被蓋は反対咬合にまでは至っていません。これは歯性代償(デンタルコンペンセーション)が働いて、下顎前突がカモフラージュされているからです。術前矯正がすすんでくると、反対咬合が明らかになります。

手術直前の顔貌では反対咬合が明らかになっています。咬合をみると前歯の被蓋が反対になっています。

術前矯正終了時
下唇の突出が明らかになっています
反対咬合が明らかです

手術計画を説明します。下顎前突を無くしながらオープンバイトを矯正するために、上顎は後方を挙上する必要があります。このケースでは上顎の前歯の先端を回転中心として、後方を3mm挙上する計画としました。この移動で上顎と下顎はともに時計回転することになり、顎先(オトガイ)は後方に移動します。

術前のセファロと標準輪郭(白線)との重ね合わせ
移動計画(標準輪郭を基準にして計画している)

術後は調和のとれた顔貌と咬合が得られています。

術後6ヶ月
上顎前歯の見え方は適正です
上口唇と下口唇のバランスが正しくなっています

術前後のレントゲンを比較すると、ほぼ計画通りの移動が得られています。

手術前のレントゲン
術後2ヶ月のレントゲン

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