唇裂の修正症例

わし鼻、垂れ鼻および広鼻の修正を行なった唇裂鼻変形の一例

※口唇口蓋裂の治療方針や保険診療についての詳しい説明は、

▶︎ 口唇口蓋裂の治療につい をご覧ください。

この患者さんは、幼少期から長期にわたり一貫して治療を行ってきた症例です。
最終修正まであえて鼻形成を行わなかったことで、組織の状態が良好に保たれ、精度の高い鼻形成術が可能となりました。

初回の口唇形成術から筆者が担当しており、今回、青年期に至って鼻の最終修正術を行うこととなりました。
本手術が最後の外科的介入となるため、考え得る修正を包括的に行う方針としました。

修正ポイントを決定する

手術前の顔貌写真です。

術前の顔貌では、鼻の変形に加えて、口唇閉鎖時の筋緊張が強く、オトガイ後退に伴う口唇閉鎖不全を認めました。

術前正面
術前見上げ
術前右斜め
術前左斜め
術前側面
術前側面

手術計画

患者さんと十分に相談のうえ、以下の点を修正目標としました。

  • 斜鼻の修正
  • わし鼻の修正
  • 鼻幅の縮小
  • 鼻孔の左右差の修正
  • 鼻尖下垂(垂れ鼻)の改善
  • オトガイ後退の改善

術前にはフォトショップを用いたシミュレーションを行い、具体的な変化量を設定しました。

術前
術前と術後イメージの重ね合わせ
術後のイメージ
術前
術前と術後イメージの重ね合わせ

■シミュレーション

  • 鼻尖:2mm挙上
  • 鼻背:2mm下降(わし鼻修正)
  • 鼻幅:左右それぞれ4mm縮小
  • オトガイ:8mm前進(E-lineの改善)

手術

術前
鼻の軟骨の状態(形成前)
リノメジャーで鼻尖の高さを確認
計画どおりの手術ができています
鼻翼切除のデザイン
鼻翼切除後

オープン法でアプローチし、湾曲した鼻中隔を切除しました。
採取した鼻中隔軟骨を移植し、下垂していた鼻尖を挙上しています。

最終的な鼻形態はリノメジャーを用いて術中に評価しながら決定しました。

鼻骨に対しては錐体骨切りを行い、鼻背の高さを調整することで、わし鼻を修正しています。
また、鼻翼は外側・内側ともに切除を行い、鼻幅の縮小を図りました。

術後経過

術後は感染などの合併症なく順調に経過しました。
術後3ヶ月の時点で鼻形態は良好に改善し、オトガイ前進によりバランスの取れたE-lineが形成されています。

担当医からのコメント

この患者さんは、幼少期から長期にわたり治療を続けてきた方です。
最終の修正まであえて鼻の手術を行わなかったことで、形を整えやすい状態を保つことができ、良い結果につながりました。

大守 誠

大守 誠(おおもり まこと) 形成外科専門医・顎顔面外科医 顎変形症、口唇口蓋裂、顔面骨形成を専門とする形成外科医。 顎矯正手術、頬骨形成術、オトガイ形成術など、顔面骨格に基づいた機能的かつ審美的な治療を得意としています。 特に、口唇口蓋裂に伴う二次変形や、骨格性不正咬合に対する外科的矯正治療においては、顔全体のバランスと長期安定性を重視した治療計画を行っています。 また、美容外科領域においても、解剖学的根拠に基づいた安全性の高い手術を心がけています。 本サイトでは、顎変形症や顔面骨手術の症例紹介、治療の考え方、患者さんに知っていただきたい医学的情報を、専門医の立場から分かりやすく発信しています。

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