患者さんはオープンバイトと下顎前突の矯正を希望して、当科を受診されました。
初診時の顔貌です。
お顔を拝見すると、側面から見た写真では上唇は下唇よりも前方にあり、反対咬合ではないようにみえますが、下顎周囲のフルネスが強くでており、下顎前突を示唆する所見があります。
咬合を拝見すると、前歯にオープンバイトがあります。臼歯の噛み合わせは3級不正咬合(下顎前突)です。前歯の被蓋は反対咬合にまでは至っていません。これは歯性代償(デンタルコンペンセーション)が働いて、下顎前突がカモフラージュされているからです。術前矯正がすすんでくると、反対咬合が明らかになります。
手術直前の顔貌では反対咬合が明らかになっています。咬合をみると前歯の被蓋が反対になっています。
手術計画を説明します。下顎前突を無くしながらオープンバイトを矯正するために、上顎は後方を挙上する必要があります。このケースでは上顎の前歯の先端を回転中心として、後方を3mm挙上する計画としました。この移動で上顎と下顎はともに時計回転することになり、顎先(オトガイ)は後方に移動します。
術後は調和のとれた顔貌と咬合が得られています。
術前後のレントゲンを比較すると、ほぼ計画通りの移動が得られています。