唇裂の修正症例

片側唇裂の初回の鼻形成術

本症例は、成人期に口唇口蓋裂の修正(主に鼻形成)を行ったケースです。
小児期に治療を終えたあとも違和感や悩みが残っている方は、
当院の成人期修正に対する考え方もぜひご覧ください。

▶ 成人期の口唇口蓋裂修正について詳しくはこちら

左唇顎口蓋裂の患者さんです。
これまでに顎矯正手術を受けられ、咬み合わせと骨格の治療が終了した段階で、
口唇と鼻の形態改善を希望して当科を受診されました。

これまで本格的な鼻の手術は受けておらず、
今回が初回の鼻形成術となります。

診断する

横から見ると、鼻先がやや下向きに下がっている印象があります。鼻の穴は左右で形が異なり、特に左側は唇裂に特徴的な、少しつぶれたような形をしています。鼻の横幅は、上くちびるの幅と比べるとやや広めです。一方で、鼻筋の曲がりはほとんどなく、鼻が低いという印象もありません。

くちびるについては、横から見ると上くちびるがやや薄く、下くちびるよりも後ろに引っ込んで見えます。正面から見ると、軽い「笛吹変形」と呼ばれる状態があり、その影響で上くちびるが少しめくれ、歯がわずかに見えています。

手術計画

① 鼻先のさがりの修正 → 鼻尖部挙上(肋軟骨を用いた鼻中隔延長)

   鼻先に肋軟骨を移植して、鼻先をたかくします。

② 鼻の穴の形の修正と鼻の横径の縮小 → 鼻翼切除による鼻孔縁修正

   鼻翼を切除することで、過度に大きい鼻孔を縮小して、同時に左右差も解消します。潰れたような鼻孔変形も修正します。

③ くちびるの修正 → 口唇の再縫合による形態修正に加えて口唇に脂肪を注入

手術

術前にリノメジャーで正確に計測して設計図を作成します。
鼻尖部に肋軟骨ストラットを移植して固定しました。
肋軟骨ストラットの前面に肋軟骨を板状に移植して鼻尖の形を整えます。
手術終了時
手術終了時
手術終了時です。設計図どおりの手術ができています。

術後経過

術前
術後6ヶ月
術前
術後6ヶ月
術前
術後6ヶ月
術前
術後6ヶ月
術前
術後6ヶ月
術前
術後6ヶ月

術後は口唇と鼻の形態は大きく改善し、患者さんは満足しておられます。

鼻の形成術では、特に最初の手術がとても重要です。まだ手術を受けていない段階では、傷あとにできる硬い組織(瘢痕組織)がないため、鼻の形を大きく、より自然に整えられる可能性が高くなります。この患者さんは初回の鼻の修正手術であったため、大変良い結果を出すことができました。

大守 誠

大守 誠(おおもり まこと) 形成外科専門医・顎顔面外科医 顎変形症、口唇口蓋裂、顔面骨形成を専門とする形成外科医。 顎矯正手術、頬骨形成術、オトガイ形成術など、顔面骨格に基づいた機能的かつ審美的な治療を得意としています。 特に、口唇口蓋裂に伴う二次変形や、骨格性不正咬合に対する外科的矯正治療においては、顔全体のバランスと長期安定性を重視した治療計画を行っています。 また、美容外科領域においても、解剖学的根拠に基づいた安全性の高い手術を心がけています。 本サイトでは、顎変形症や顔面骨手術の症例紹介、治療の考え方、患者さんに知っていただきたい医学的情報を、専門医の立場から分かりやすく発信しています。

関連記事