唇裂の修正症例

片側唇顎口蓋裂に対する初回鼻形成術

今回ご紹介するのは、唇裂による鼻の変形に対して、初めての修正手術を受けられた19歳の男性の症例です。
術前のカウンセリングでは、ご本人と一緒に「どの部分をどのように整えたいか」を丁寧に相談しました。その上で、画像シミュレーションソフト(Adobe Photoshop)を使い、手術後のイメージをわかりやすくご確認いただきながら、治療方針を決定しました。


修正ポイントと術式

① 鼻先が垂れ下がっていて、鼻すじが出っ張って見える(わし鼻)

→ 肋軟骨(ろくなんこつ:胸のあばらの軟骨)を使って鼻先を高く持ち上げ、プリザベーション法による鼻骨骨切りでわし鼻を改善しました。

② 鼻の幅が広く、左右差がある

→ 唇裂側の鼻翼(小鼻)を小さくする手術を行い、バランスを整えました。


手術について

手術は「オープン法」という方法で行い、皮膚の下の構造をしっかり見ながら丁寧に調整しました。

  • 鼻すじをなめらかにするために、鼻の骨を一部カットし、2mmほど低くしました
  • 胸の右側から第6肋軟骨を採取し、鼻先を支えるパーツとして加工・移植しました。
  • 小鼻の広がりを抑えるため、唇裂側の鼻翼を3mmほど切除し、内側へ移動させました。
リノメジャーを用いて鼻を設計しました。
肋軟骨を用いて、鼻先を形成しました。
鼻先には複数の肋軟骨を移植して、形を整えています。
設計図どおりの仕上がりになりました。

術後の仕上がり

手術後には、以下のような変化が見られました。

  • 鼻先の垂れ下がりが改善され、すっきりとした印象のになりました。
  • わし鼻の出っ張りがなくなり、自然でなめらかな鼻すじができました。
  • 鼻翼縮小によって、鼻の幅が狭まり、顔全体のバランスも整いました
術前
術後3ヶ月。わし鼻はなくなり、鼻先の形はよくなりました。
術前
術後3ヶ月。鼻幅は等しくなり、軟骨の輪郭も改善しました。

術前
術後3ヶ月
術前
術後3ヶ月

ご本人にもご満足いただける結果となり、自然な鼻の形態と顔貌の調和が得られました。唇裂による鼻の変形は、患者さん一人ひとりによって形や程度が異なります。私たちは、それぞれのお顔に合った、自然で美しい仕上がりを目指して治療を行っています。

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